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現実世界と文学と

ここでは私が興味を持った小説を邪推して裏を読んでその考察をしていきたいと思います。

『井上ひさし』ナインと中流・1

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『井上ひさし』ナインと中流・1




○はじめに
 高校時代に、井上ひさしさんの「ナイン」を読んだ。
そのレポートを書くときに野球場は国会議事堂の暗喩なのではないか、
もっと深いところに作者が言いたかったことがあるのではないかと思った。
必死に考えたが、当時の私にはどうしてもそれ以上アイデアを広げていくことはできなかった。


 それから6年ほどの歳月が流れて、高校を卒業し専門学校も卒業間近の頃。
国語のクラスで「ナイン」を教えてくださった先生と再開した。


私のアイデアをまとめて冊子に載せてくださるということだった。
当時の私が必死に考えたレポートが先生の素晴らしい文章によって紹介されていた。



 制作会社での仕事が思いがけず早く終わったので、
ナインの舞台である四ツ谷新道に寄ってみた。
新道に行ったのは初めてだったが、ナインを読まなければ決してくることのない土地だと感じた。


どことなく暗い。
飲食店ばかりで、ここに本当に豆腐屋やガラス店があったのかと不思議に思う。
 新道を離れて外堀公園野球場へ。


ちょうど夕方でナインたちの体験と重なる。
もっと大きな影があるかと思ったが、影は一塁側のベンチと本塁に落ちているだけだった。


三塁側には今でも西日が降り注いでいた。
ただ、プラスチックの屋根が西日を遮っていた。


確かに、西日は差さなくなってしまったのだなあと強く感じた。


 もう一度あの「ナイン」に会いたくなったので、図書館へ向かった。


短編なのですぐに読み終わることができた。
ふと、数年前に投げ出した事を思い出した。


 明記されていない「センター(中堅)」の謎である。


井上ひさしさんは、
むずかしいことを やさしく
やさしいことを ふかく
ふかいことを ゆかいに
ゆかいなことを まじめに


という詞が好きだったと聞いた。


ならば、


まじめなことを ゆかいに
ゆかいなことを ふかく
ふかいことを やさしく
やさしいことを むずかしく


このように考えていけば、この物語のヒントがわかるかもしれない。
「ナイン」の明記されていない「センター」について考えてみようと思った。
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