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現実世界と文学と

ここでは私が興味を持った小説を邪推して裏を読んでその考察をしていきたいと思います。

『井上ひさし』ナインと中流5

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『井上ひさし』ナインと中流5



○独立できないバッテリー
 そして野球にはなくてはならないポジション、バッテリーだ。
投手と捕手の組を指す。 
この二人に共通しているのは、未だ自立できていないことではないか?


投手 英夫

畳屋の跡継ぎ

捕手 正太郎

詐欺師


 

もうじき父親は隠居し、英夫は自営業者になるのであろうが、
作中の段階では未だ父親の元で修行中である。

ナインの中で捕手の正太郎だけが詐欺師で定職には就いていないのが例外である。

私は詐欺師とは政治家の暗喩ではないかと思う。

この考えの根拠は、下記の通り。

・正太郎の担当する捕手の位置は、国会議事堂では議長席に当たる。

・正太郎はナインのキャプテンであり、ナインに指示を与えられる権限があった。つまり、法律を作成し、運用する政治家の役割に似ている。

・正太郎の親の仕事であった「洗濯屋」から「汚れ物を引き受ける」役割であることを連想できる。

・国民を騙して少しでも多くのお金を取りたい。そして国民はもし、国に税金を必要以上にとられていたとしても滅多なことでは文句を言えない。

・「ロッキード事件」の影響もあり、作者は政治家に対して不信を持っていたのではないか。

・「正太郎」という名前から。「正しい」ことは「言葉にしてしまうと嘘になってしまう」性質のものではないか。

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